どうも、こぐまです(´・ω・`)

サクラメント 死の楽園の感想ですが、今回はネタバレ感想という形を
取っていきます。ですからネタバレされたく無い方は戻るボタンから
引き返すことをお薦めします。

普段はネタバレ感想は書かない私ですか、今回の映画に関しては
このような形で書いていきます。
なぜかと言えば、この映画が実際の事件をもとにした映画なので
その対比を見ながら書いていきたかった為です。

どんな映画か

このサクラメントという映画は1978年南米のガイアナ共和国で起きた
カルト教団の集団自殺事件を元ネタとした映画です。
ちょうど教団の自殺事件が起きる最後の時期を映画化した形になります。

実際にはどんな事件だったのか

1955年にインディアナ州インディアナポリスで設立された人民寺院というのが
教団名になります。設立当初は差別撤廃を訴えた社会活動家として世間的にも
好意的に認められた団体だったようですが、当時から教団員の8割が黒人等の
有色人種であったのにもかかわらず教団幹部は白人のみで占められていた
歪な団体だったという事です。

なにしろ設立者で事件の主犯であるジム・ジョーンズの父親が白人至上主義の
秘密結社クー・クラックス・クラン(kkk)の信奉者であったので、
その影響もあったのかもしれません。
そしてカルトではありがちというか当然の結果ですが、独裁体制だった為
脱退した信者やマスコミから批判を受けるようになり。
南米ガイアナ共和国に残った信者と共に移住する事になります。
そしてガイアナのジャングルを切り開いてジョーンズタウン
正式名称(People's Temple Agricultural Project)を作り、そこで信者と
共に自給自足の生活をしていきます。
因みにガイアナ共和国の首都はジョージタウン紛らわしいですね(;´Д`)

この頃には極左思想に傾倒していき共産主義を唱えていたとの事ですが、
元々ジム・ジョーンズには極左思想が存在していたのでしょう。
なにしろ幼少の頃よりスターリン、ヒトラー、毛沢東という極左思想の人間達の
本を愛読していたという話ですがら、教団が独裁体制であったというのも
納得です。なにしろ極左というのは最終的には権力の集中、
独裁に繋がりますから。

しかしここでもジョーズとその教団幹部による暴力、レイプ、強制労働などの
人権蹂躙が繰り返されて、教団信者の家族もジョーンズタウンに連れて行かれ
自由意志では出てこれない状況になり大きな社会問題となっていきます。
因みに既に信者だった者達が出ていきたいと言っても許されない状態だった
ようです。

そしてこの問題を重く見たアメリカ連邦議会のレオ・ライアン下院議員と
信者の家族、マスコミが視察団を作ってジョーンズタウンに行きますが、
当初はジョーンズタウンの表の顔を見て好意的に受け取っていたようです。
しかし、数日間滞在する間に教団の異常さに気づくことになり、監禁や
虐待の実態、監視の目がない時に訴えてくる信者の帰国希望。
これらのもとに帰国希望者を連れて帰る途中信者から襲撃され、
ライアン議員他テレビクルーの5人が死亡し、生き残った人が当局に通報して
ガイアナ国防軍が到着した時には信者914人の集団自殺体があったという事件です。
これが1978年11月18日の出来事になります。

映画と事件の相違点

実在の事件をもとにした映画であるサクラメントですが、当然映画なので
大きく脚色しています。
ですが、大筋では実在の事件をなぞりながら進んでいく映画なので、
事件の雰囲気を味わう事が可能です。

映画はフリーのカメラマン、パトリック・カーターがVICEというメディアに
薬物中毒の自身の妹から届いたという手紙を持ち込む所から始まります。
VICEの特派員サム・ターナーがそれをメディアで紹介し、妹が所属している
謎の共同体に突撃潜入取材をする事になります。
パトリックとサム、カメラマンのジェイクで取材に行くことになりますが、
実際の事件だと議員の視察がこのような改変になっているようです。

ヘリに乗って三人が現地に到着すると、教団関係者の黒人二人が迎えに
きますが、招待されたパトリック以外のテレビ関係者に警戒して、
許可がないものは立ち入れないと険悪な雰囲気になります。
しかし無線機で確認した所、入れても大丈夫という指示が届いて
無事潜入する事になります。

しかし共同体の入り口に到着するとマシンガンで武装した黒人がカメラを
止めろと恫喝してきて。妹に招かれたパトリックが交渉に入ります。
(この映画実在した人民寺院どうよう黒人率が高いです、しかも軍事訓練
まで行われていた事実もあるようです)
パスポートや寄付まで要求してきますが、そこで押し問答していると
パトリックのヤク中の妹キャロラインが仲裁に入り、なんとか共同体
の内部に入れました。
因みに共同体の名前はエデン教区と、この時解る事になります。

そしてこの後内部で取材を開始するわけですが、やはり議員の視察を
模しているだけあって、話す人間すべてがエデン教区の良さをサム達に
語るわけです。これにはサムもジェイクも拍子抜けで良い所じゃないか
的な印象を得ますが。ジェイクの方が色々と冷静にエデン教区の分析を
するわけです。
(因みにパトリックもキャロラインが更生しているのを見て妹を救出する
つもりで乗り込んできたエデン教区を良いとこだと評価する事になります。)
ジェイク曰く薬物中毒のリハビリの為に短期間いるのは良いかもしれないが
老人達も数多くいるのに、小さな医務室だけじゃやっていけないだろうと。
事実人民寺院でも死ぬ寸前のような老人を小屋にすし詰めにして監禁して
いたようです。

そしてこの辺りから時折サヴァンナという少女がサム達を凝視している
シーンが数多く出てきます。なにか話すわけじゃないですが、ジッと近くで
見てくるので、不気味に映りますが事件を元ネタを知っていれば虐待されて
いる少女だとすぐに解るでしょう。
つまり良い話だけをサム達テレビクルーに聞かせる為に、洗脳された教団員
達が芝居をしている訳です。

おおよそ教区を回った後にキャロラインがお父様と呼ばれるエデン教区の
教祖がインタビューを受けると言ってきます。
しかし、そのインタビュー信者が数十人いる前で行われる、完全アウェー
状態です。しかも教祖も信者も知らないはずのサムの妻にもうすぐ子供が
生まれる事を言い当てて、半脅迫のような真似をしてきます。
これにはサムも動揺して予定していた質問の半分も出来ないまま終わって
しまいました。

この頃から教団に違和感を感じていきますが、まだ確信ではありません。
インタビュー後に行われたパーティーについても素晴らしいと絶賛し
好印象で信者達が、このエデン教区にいるのも解る気がすると一定の
理解をしめします。

ですがこのパーティーの最中に時折現れるサヴァンナという少女から
紙切れを貰います、そこには「助けてください」と書いてあって、
ここから一気に教団の不気味な部分が見えてくる展開に突入していきます。

まずサムとジェイクはパトリックと合流しようとしますが、妹のキャロラインが
会わせないように動きます。パトリックを村から出さない構えのようです。
しかもその時のキャロラインは完全にラリッていて、今現在もヤク中である
事が判明します。しかも教祖とラリッて淫行に耽っているようです。
「ジェイクは早く村を出ようパトリックの妹は今もジャンキーのままだ!」
と自分達が危険な場所に潜り込んでしまった事を理解します。
因みに実在の教祖ジム・ジョーンズも大麻等の薬物中毒者であったようです。
映画の中でも薬の副作用でというセリフがあるので、それを示唆している
のかもしれません。

小屋に戻ったサムは明日には教区を脱出しようと相談します。
この時サヴァンナが再度サム達の小屋を訪れ、どこかへ案内しようと
しますが、サヴァンナについていってみると、そこには教団に虐待された
人たちが集まっていて、監視の目がある場所では本心を話せなかったと
訴えてきます。そしてサヴァンナの母親が娘が虐待されているので、
帰国する時娘だけでも連れて行ってとサム達に懇願してきます。

この後サムとジェイクの間で意見が分かれてしまいますが。サムは何とかして
連れて帰ろうと主張し、ジェイクは帰ってから通報すれば良いと主張します。
正直見ている方としてはジェイクの方が冷静で無事に教区を脱出
しない事にはどうしようもないだろうと共感できるのですが。
ここは実在の事件のように連れて帰るという選択をしないと物語が
進まないので歯痒いですね。

翌日帰る頃になると、村で騒ぎが起きます。騒ぎの原因はと言うと
テレビクルーが帰るのに合わせて、俺も私もと帰国したいと言う信者と
帰国させまいとする洗脳信者が大騒ぎしている事態になっていて。
パトリックもキャロラインと言い争いをしています。
「みんなここから出たがっている!」とパトリックは言いますが
当然洗脳されている妹は聞く耳を持ちません。

そしてサムもジェイクの関わるな!という忠告にも応じず全員は
連れて帰れないがサヴァンナだけでも連れて帰ると、ジェイクに
ヘリの定員を確認してきてくれをジェイクだけヘリに向かわせます。

サムの行動が無謀すぎて完全に死亡フラグが立ったように見える展開の
後、ジェイクが迎えに来たヘリのパイロットと追加の人員の交渉をする
最中に銃撃を受け、そしてヘリのパイロットが撃たれてしまします。
この辺りも実在の襲撃に準えた展開となるでしょう。
ジェイクはなんとか信者から逃れてヘリの場所に戻ってきますが、
驚異的な体力でパイロットが生きてました…そんな馬鹿なと思いつつ
パイロットが生きてないと脱出出来ないからねと、物語の都合上納得
しました…、血だらけのパイロットが仲間を連れてこい!操縦は可能だとか
言って素晴らしい勇敢さを発揮します。

しかしジェイクを襲撃した同時期に今回の主題である集団自殺を
準備が行われていて、ジェイクが着いた頃には村人も殆ど生きていない
死屍累々の惨状を目にする事になります。
この時パトリックもキャロラインに椅子に縛り付けられて強引に毒殺
されていました。パトリック無念過ぎる…
そしてサムも暴行された後はありましたが、なんとか生存していて
合流する事ができましたが、教祖が目の前で自殺して事件の首謀者が
死んでしまいます。
命からがらヘリまで逃げ出しで映画は終わりますが、最後に
エデン教区での死者数が167人だと字幕が入って映画が終わります。
因みにサヴァンナと母親も銃殺されてしまいます、なんてこった(;´Д`)

まとめ

正直映画としては駄作の部類に入ってしまうでしょう。
実在する事件の方が映画よりも規模が大きな事件ですし、映画内で
教団が行ったとされる、暴行、虐待、レイプ等の犯罪シーンが
出てくる事はありません。
事件の大筋を箇条書きで書いて、そのままなぞったような映画なので
感想もそんな感じになってしまいました。

そして900人から自殺もしくは他殺された事件に比べ、この映画では
160人の死亡者というかなり小規模になっている事が映画のスケールダウンに
繋がっているでしょう、当然村の規模も小さく小さなコミュニティという
形だったので、あれなら出ていきたい信者同士協力すれば抜け出せるんじゃ
ないかなって思ってしまうレベルです。

単純に予算不足の映画なのでしょうが、もう少し頑張って欲しかったというのが
正直な感想です。因みに映画全編を通してp.v.o.ショットで撮影されていて
(Point of View Shot)カメラマン視点なので臨場感はあります、低予算の
映画にありがちな撮影法ですが、ヤバイ場所に潜入した臨場感は十分伝わって
くるでしょう。

事件を知っているかいないかで、評価が変わる事もあるかもしれません。
映画単体では駄作に見えましたが、実在の事件のあらすじでも知ってから
みると、教団の不気味さみたいなものは楽しめるように思います。
事件の予習をしていれば脳内補完で物語を楽しめるかもしれませんし。
未だ公開されていない情報の多い事件ですが、多少フィクションを
交えても、より強烈な刺激の映像を加えた方が映画としては良かった
かもしれません。

人民寺院を題材とした映画の中ではもっとも新しい映画になるので
興味があるかたは見ても良いかもしれません。
上映時間も短くて簡単にみる事が可能です。

それでは、次の記事で(´・ω・`)

 

 

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